フィリピン見聞録2日目

フィリピン見聞録2日目

5時過ぎだったろうか、子供達の声で1度目を覚ました。MCLの子供達の朝は早い。

掃除をし、身支度を整え、かまどの火で朝食を作る。朝が涼しいのも早起きの理由の一つだろうけれど、朝が弱い僕には彼らの習慣は眩しく映る。

…なんて思いながら二度寝し、およそ1時間後、鐘の音と「Time to eat~」の声で起こされた。食堂がある階下に降りると既に子供達が揃っていて、お皿と食べ物を囲んでいた。当番制だろう食前のお祈りを済ませ、朝食をよそい始める。今朝のメニューは赤いソーセージ1本とイワシの塩焼き、ご飯。

話に聞いてはいたが、なんて質素な食事なのだろう。おかずが1品の時もあるのだとか。米は自給自足していて十分足りているので飢えることは無いだろうけれど、満足に成長することは出来ないだろう。

食後はウェルカムパーティをやるらしい。皆で練習した歌やダンスをカホンやギターの音色に合わせて披露してくれた。特に、部族や宗教ごとに別れて各々代表する曲を歌ってくれたのは印象深かった。

ここMCLにはフィリピンの少数民族ーマノボ族の子供達やイスラム教、キリスト教の子供達がいて、例えば特別な場合を除いて豚を食べないようにしたり、受け継がれた歌を練習したり、互いを尊重しながら暮らしている。

子供達の発表があり終わった後は拙い英語で自己紹介を済まして、早速持ってきたラケットとボールでフレスコボールを教え始めた。


↑フレスコボールはブラジルのスポーツで、最も大きな特徴は打ち合う相手と「競わない」こと。 2人1組でボールを打ち合い、ラリー数や打ち返す技で得点を稼ぐスポーツです。

MCLには以前、バドミントンラケットを持って行ったそうなのですが、シャトルやラケットが壊れると遊べなくなります。そこで調べた結果、ラケットが木製で自作可能、ボールも壊れにくいフレスコボールを伝えることにしたのだそうだ。

そんな訳で、全くの初心者だった僕が経験者の方に指導してもらって、教えていて、しかし中々これが難しい。ボールは、力を込めると簡単に遠くに飛んでゆくし、僕自身、上手く返せないので中々ラリーが続かない。

正直、ちゃんとスポーツを教えられているか不安だし、楽しんで貰ってるかどうか分からないけれど、進んで教えてもらおうとする好奇心旺盛な子供達を見ると安心した。良かった。


しばらく教えた後、日差しが強くなり日なたで体を動かすのが辛くなってきた。冬とは言えど赤道にほど近いフィリピンは暑い。

休憩がてら仲良くなったJojo少年に敷地内を案内して貰ったり、敷地内の木に生えている果物を貰ったりして時を過ごした。

ちなみにJojoは本名で、ジョジョの奇妙な冒険と言う漫画を知ってるか?と聞いたらジョジョ立ち(漫画の中ででてくる特有のポーズ)で返してくれた。ジョーク、イタズラ好きだが憎めない奴で僕は好きだ。

昼前、このエリアの自治体の19周年パーティがあるらしいので着いて行く事にした。MCLの子供達がダンスを踊るそうだ。

自治体集会所へと向かう道中の図。
この舗装路もほんの少し前までは未舗装だったそうだ。バナナの木や、ゴムの木など、地元ではまず見ることの無い木々が生い茂っていて、沖縄の情景を思い出した。時間が止まったようで懐かしい気分だ。

パーティではお偉いさんのスピーチや世間話(全てビサヤ語)が延々と続いた後、皆で持ち寄ったご飯を頂く。正直なぜ無関係な僕がこんな場に居るのか良く分からなかったけれど悪くない気分。

MCLに戻って、少し休んだ後キッダパワンの街に買い物へ。来た時は夜だったので詳細な街並みがくっきり見えて首が落ち着くことを知らない。↑構造上の問題も多いようだが、倒壊しかけのビルがあったり、その他亀裂の入った路面や壁など、地震の爪痕は至る所に。

まずホームセンターでフレスコボールのラケットの材料を買ったあとに、市場で全員分の鶏肉と野菜を購入した。

市場では湿った空気と生臭い匂いに混じった、行き交う人や声に圧倒された。少し前に香港の泥棒市場に行ったことがあるのだけれど、それとはまた違った危なげのない生活感があった。ともあれそんな活気さに戸惑ってしまう。

↑同じように鶏肉を売る店を幾つも見かけた。競争にならない不思議。市場で価格が決まっているのだろうか?外国人の僕が知る由もないけど。

全ての買い物を終え、再度MCLに帰ってきた。昨日の今日なので休みたいなぁと内心思っていたが、MCLの青年達に誘われバスケットボールの3on3に参加することに。結局日が暮れかかるまで続けた。

シャワーを浴びて、夕食を食べ終わった頃には筋肉痛に悩まされる事になる。夜何時だったか忘れたけど床に就く。

↑シャワーはこんな風に。川でシャワーするのに慣れているので、造作もないけど、誰しも最初は抵抗を覚えるだろうね。